新卒の就活をしていたとき、ありがたいことに事務職で2社から内定をいただきました。さて、どっちに行こうか。普通なら給与条件や福利厚生を並べて検討するところです。

でも、当時の私は直感で決めました。

その時、どっぷりとハマっていたゲームの中に「総務部 調査課」というかっこいい組織があったんです。「……あ、私の内定先、部署名に『総務部』がある方でいいや」。

今こうして書き出してみると、当時の自分がいかに無鉄砲だったか…正直、冷や汗が出るほど恥ずかしい。まるで、黒歴史を掘り返すような感覚です。でも不思議なことに、その「直感という名の遊び心」は、今の私にもしっかりと受け継がれています。

「裏方」という名の居場所

結局のところ、私は「組織という舞台の裏側」を整えることが好きな人間なのだと思います。

最初の会社では、総務・労務・経理から、社長のプレゼン資料作成、イベント用の動画編集まで「なんでも屋」として働きました。誰に対しても物怖じせず、どんなに偉い人でも「結局みんな同じ人間だな」とフラットに挨拶できるようになったのは、この時期の経験のおかげです。

ただ、当時の私は「なぜその処理が必要なのか」という理由までは分かりませんでした。先輩が10年かけて培った知識のブラックボックスを前に、わからないなりに必死で食らいつく。そんな「手探りの毎日」を送っていました。

採用という「荒行」で見えた適性

一方で、採用業務にも一生懸命取り組みました。でも、正直に言うとこれは苦行でした。

自分自身を看板にして親しみやすさをアピールするようなコミュニケーションは、私の本来の性質とは少し違っていたからです。人と話す前はいつもおびえていました。「ちゃんと話せるかな」「どう見られているだろう」。そんな緊張を抱えながら、なんとなく会話を回すスキルだけは磨かれました。

この経験を通じて、私はある確信を得ました。私は「自分を熱く売り込む主役」よりも、「場を回す裏方」としての方が、圧倒的にパフォーマンスが上がるのだと。

トラブルを「日常」に変えるプロの所作

「自分には裏方が向いている」そう感じた瞬間があります。以前、表彰式の介添えを任された時のことです。

壇上でふと見ると、あろうことか表彰状が上下逆さまになっているではありませんか。一瞬、心臓が跳ね上がりましたが、私は笑顔でさらりと、お盆ごと表彰状を「くるり」と回しました。

何事もなかったかのように式は進み、誰もそのミスに気づくことはありませんでした。「なんとかなるし、どうにかする」。トラブルを日常に変えてしまうこの適応力こそが、私の事務職としての最大の武器です。

「事務」という名の、広大なフィールド

一口に「事務職」と言っても、その中身は驚くほど多様です。私がこれまで経験した「広く浅い管理部門」の仕事もあれば、特定の業務を極める専門職的な事務も存在します。

  • 総務系事務:備品管理からファシリティまで、組織の「環境」を整える司令塔。
  • 労務系事務:人の出入りや保険、給与など、働く人の「安心」を支える専門家。
  • 経理系事務:数字で組織の健康状態を可視化する、経営の「羅針盤」。
  • 営業事務・技術事務:現場と二人三脚で走り、成果をバックアップする「バディ」。

最初の会社でいろいろな業務をかじり、今の会社で知識を深めていく中で、私は「自分は管理部門系、特に仕組みを作って全体を整えるのが好きなんだな」という適性を見つけました。組織ごとに求められる事務の役割は違います。どの「事務」を選ぶかで、組織の見え方も、自分の仕事のやりがいも大きく変わるのです。

過去のブラックボックスが「攻略」に変わる時

転職し、今の環境で体系的に管理の仕組みを学び直したことで、世界が一変しました。

「あ、あの時のあの作業は、このリスクを防ぐためのものだったんだ」。点と点だった過去の経験が、今の知識と結びついて線になる。バラバラだったゲームの攻略本が、ようやく一冊にまとまったような快感でした。

かつて「理由もわからずやっていた作業」が、組織を最適化するための「戦略的な一手」へと変わったのです。わからないなりに食らいついた10年間は、決して無駄ではありませんでした。

事務職は、組織の「OS」を整える仕事

今、事務の仕事に感じているのは「ルーチン」ではなく「システム攻略」の面白さです。

どこに無駄があるのか、どうすれば誰もが迷わず働ける環境を作れるか。パズルを解くように仕組みを設計し、少しずつ最適化していく。この面白さを知ってしまったからには、もう「ただの事務職」には戻れません。

すべての経験は、次の攻略への伏線

もし今、あなたが事務職という役割の中で「ただの作業員」として迷子になっているなら、伝えたいことがあります。

たとえ今はブラックボックスに見える手順でも、無駄なことなんて一つもありません。すべては、あなたが将来「組織というフィールド」を攻略するための重要な伏線です。

私もまだまだ修行の身。これからも直感で物事を決めたり、トラブルを「くるり」と回してやり過ごすような場面があるかもしれません。それでも、自分らしく、この「環境づくり」という名のゲームを楽しんでいこうと思います。

意外と、事務職というフィールドは、あなたが思っているよりもずっと広くて、深いですよ。

ABOUT ME
みっか
自他共に認める「三日坊主」な事務職。 事務職が「自分軸」でキャリアを切り拓くための知恵を発信しています。FP3級とITパスを武器に、効率化を検証中です。